はじめに

服薬指導を行なうとき“最重要質問”や“SHOW AND TELL”を使用
している薬剤師は非常に多いのですが、
突然問題が生じ、コミュニケーションに支障をきたすような
難しい状況に出くわす場合もあります。
そういった場合にはコミュニケーション維持のために
別のテクニックも必要になってくるのです。

次の映像を見てみましょう。

患者の態度はどうでしたか？
薬剤師の態度に問題はありませんでしたか？
どのようなテクニックを使えばよかったのでしょう？

薬剤師としては難しい状況下で服薬指導をする時の
緊張を和らげるテクニックが必要ですね。

また、なるべく不意をつかれないようにするためには、
おこりそうな問題を予測することが必要です。

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PAR法

なるべく不意をつかれないようにおこりそうな問題を予測し、
正しく状況を判断することで適切な対応を行なう３つのステップのことです。

1.PREPARE　--　準備　-→　患者に関して分かる限りの情報を洗い直す


処方箋　

個人的に知っていること　

患者プロフィール　

限られたデータからでもどれだけ多くのことを読み取れるかがわかったで
しょうか。


2. ASSESS　--　状況判断　-→　本当の問題は何なのかを考える


コミュニケーションの障害となる基本的な
２つの要素について考えてみましょう。

つまり、感情的障害と機能的障害です。

感情的障害（怒り、当惑、恐怖、かなしみなど）
患者がこのような感情をもっている場合、
こちらが何を伝えようとしても聞く耳をもちません。
ですから、まず感情面の問題を解決しなければなりません。
相手の気持ちを理解し認め、何が問題なのかを説明する
ことが大切です。

機能的障害（感覚器官の障害、言語の相違、健康保険間の違いなど）

患者の言葉を聞くとともに、言語によらないサインを
発していないかにも目を向ける必要があります。


それでは、薬剤師が何に気づくか見てみましょう。


　

ここで止めてみましょう。

患者が喋りながら言葉によるサインと言葉によらない
サインを送っていたことに気付きましたか？
障害はひとつではありません。ボディランゲージから
伝わってくる情報もとても大切なのです。


3. RESPOND　--　対応　-→　状況判断結果に基づいて適切な対応を行なう


相手の気持ちを認め、何が問題なのかを説明する
ことが大切です。

感情的障害の場合
感情的な患者に対して最初に応答する場合、相手の気持ちを認め、
何が問題なのかを説明することが大切です。
（＝反射的対応　Reflecting　Redpond）

次の映像で反射的対応を確認しましょう。
感情的障害に対して爆発しそうな状況を
どのように和らげることができるでしょうか？


反射的対応1

反射的対応2

反射的対応3

反射的対応4

反射的対応5


障害に適切に対応するにはいくつかの方法がありますが、
カウンセリングをすすめるために、たいていの場合は反射的対応で
うまくいきます。

機能的障害の場合
機能的障害の場合にもそれぞれ障害ごとに特別な対応を
行なうことによってPAR法で解決することができます。
実際の例を見てみましょう。


PREPARE

ASSESS

INTRODUCTION ; ASSESS ; RESPOND

SHOW AND TELL Q.#1

SHOW AND TELL Q.#2 ; ASSESS

REFRECTING RESPONSE ; ASSESS

RESPOND ; ASSESS

RESPOND ; ASSESS

REFRECTING RESPONSE


上の例では、PAR法を使って機能的障害ばかりでなく、
感情的障害や重大なコンプライアンス上の問題も
すばやくつきとめ対処しました。

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最後にPAR法がどれくらい有効かを見てみましょう。

この項目の最初に見た例をPAR法で対処した場合の映像を
見ていきましょう。
どのように状況が改善されているでしょう。

１シーンにすると１分２５秒(12M)

PREPARE

INTRODUCTION; PRIME Q.#1; ASSESS

PRIME Q.#2; ASSESS

RESPOND; ASSESS

REFLECTING RESPONSE; ASSESS

REFLECTING RESPONSE

PRIME Q.#2



薬剤師がどうやって乗りきったかわかりましたか？
今回は素早く効果的に対決姿勢を方向転換させて成功に導きましたね。
そして、患者が医者に不当な非難をぶつけないように防ぎましたね。