@血漿中の蛋白量の違い
薬剤は血漿中では、蛋白に結合したものと、遊離したものが存在します。その比率は薬剤によって異なりますが、一般には、遊離型の薬剤が血中から細胞内に移行し、薬効を示します。
新生児では、この蛋白が少ないため遊離型の比率が高く、薬効が強く出ることがあります。
A体内水分量
小児では体内の水分量が多く、薬剤の体内分布に影響を与えます。
小児の体内総水分量が多いのは、細胞外液量が多いためです。したがって、水溶性の薬剤を投与した場合には、体重に対する薬剤の分布容積が成人よりも大きくなるため、体重あたりの薬物量で換算すると、成人よりも多くの投与量が必要となります。
B薬物の代謝・排泄に関する肝臓と腎臓の機能
肝臓:新生児期は、肝臓の薬物代謝酵素等が未発達なため、肝臓での薬物代謝速度は遅くなっています。しかし、満1歳になる頃には、肝単位当たりの酵素量がほぼ成人並になります。
また、小児期では、体重当たりの肝重量に比率が高く、乳児期では成人の2倍近くであるため、肝臓の薬物代謝速度は成人以上なります。これは、15歳ごろまで続きます。
腎臓:腎機能も新生児では未熟であり、糸球体濾過速度は成人の30〜40%と言われています。他にも、尿細管細胞の機能や、尿細管周囲の血管循環十分に発達していないので、尿の濃縮力の弱い傾向にあります。これらは、2歳までに成人とほぼ同じになります。
腎機能が未熟な時期には、腎排泄型の薬物で体内蓄積が起こるため、特に長期投与時に副作用などが発現しやすくなります。
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